司法精神医療センターを見学
手稲区保護司会は9月22日、北大病院付属司法精神医療センターを見学しました。心神喪失などで重大な他害行為に及んだ人を対象に道内で初めて開設されてから3年半の歩みを聞きました。
同センターは、札幌刑務所の隣接地にあります。医療観察法による入院機関です。
この日は会員ら22人が参加。2班に分かれ、それぞれ賀古勇輝センター長と木村憲一医師の案内で内部を見て回りました。カンファレンスルームでは、スタッフだけでなく、必ず患者本人を交えて話し合っているそうです。これは、オープンダイアローグと言ってフィンランドで始まり、近年、日本の精神医療でも注目されている方式です。また、医師と看護師、心理師らが同じ部屋で仕事をして、他職種の連携を図っていました。調理をできる人は再犯が少ないという国内の研究から、患者が調理器具を使えるようにしていました。集団療法室では、ストレスへの対処法や回復(リカバリー)について患者の書いた付せんを張ってありました。電話やパソコンを使える場所もあり、基本的に自由を尊重している様子がみてとれました。
会議室に戻り、賀古センター長が質問に答えました。ベッドは23床あり、現在は20人が入院。全国の指定入院医療機関の過去3年間の平均在院が3.4年なのに対し、同センターを退院した19人の平均は2.3年。転入院を除く8人では1.7年で、全国でも最も早期に社会復帰を実現しています。現時点で再度の他害行為や入院をした退院者はいないそうです。
賀古さんは「患者とちゃんと対話することがすごく大事。当事者研究も大事にしている」と語り、対話の実践が院内での暴力を防ぐ効果も生むと言います。退院者の大半は、グループホームに入居しているそうです。
