「対話でつながりを」 日本更生保護学会
日本更生保護学会の第13回大会が10月12、13の両日、札幌市教育文化会館で開かれました。道内で初開催です。
元札幌矯正管区長で福山大教授の中島学さんが「更生のため新たな道を開く」と題して基調講演。「今の刑務所は、受刑者への指導より対話の時代に入っている。対話による仲介で、地域とつながりをつくる」ことを提言しました。
「当事者との協同で地域をつくる」と題したシンポジウムでは、元受刑者(ワンネス財団共同代表)2人がパネリストになりました。同財団は奈良県で最高級のイチゴの栽培・輸出、沖縄県でバニラの栽培に取り組んでいます。1300人を超える入所者の大半は行き先のない元受刑者や依存症を抱えている人たち。「居場所と理解者、応援者がいれば何とかなる」と語り、入所者が問題を起こした時は、本人の中で何が起きたのかを聴き、精神医療との連携に努めているそうです。
討論で、保護司からの質問に対し、法務省の更生保護担当者は「保護司の面接では、傾聴のスキルというより、対話とか、その人らしさが重要」と答えました。
大会企画セッションの「息の長い支援のための居場所づくり、ネットワークづくりの実践から学ぶ」では、道内の先駆的な実践が紹介されました。まず、道北地方物質使用障害研究会の杉本啓二さん(旭川保護司会連合会会長)が、覚醒剤などの依存症からの回復を支援する10年間の活動を発表しました。「更生保護関係者が立場を超えてやってきた」と言います。旭川更生保護協会の沢田弘志さんは、対象者と一緒に考え動くことの大切さ。更生保護施設旭川清和荘の和泉光彦施設長は、行き場のない処遇困難者を多数受け入れ、「最後のとりで」と呼ばれる中、「職員対寮生ではなく、人としてつきあう」ことを目指していると話しました。
また、薬物依存症者の回復を支える「北海道ダルク」の代表は、当事者が地域の生活者になるまでの生き方の変化について、札幌の医療法人ほっとステーションの精神保健福祉士は「北海道で更生と再犯防止を考える会」の「集まり、考え、戻り、耕す」意義を発表しました。