渡辺一史さんが保護司に提言

 「就職して定職につくという型にはまったことより、周囲との折り合いをどうつけるかが大事」。10月8日に開かれた公開ケース研究会。ノンフィクションライターの渡辺一史さんが、保護司に提言しました=写真=。
 渡辺さんは2001年に札幌出身でレッサーパンダの防止をかぶった男が起こした殺人事件を取材。男は軽度の知的障害があり、父から虐待され、幼少期にいじめ、職場でも暴力を受けていました。「担当保護司の面談は2回のみ。定職につくよう説諭するばかり。家庭環境には問題ないと報告書を出した。具体的支援先につなげていなかった」と、対象者の居場所づくりを求めました。
 また、支援は「うまくいかないことだらけ」とし、そのプロセスを否定的にとらえるのではなく、価値観や組織が成長するきっかけととらえることを勧めました。
 質疑では、「自立」をどうとらえるかが話題になりました。渡辺さんは「人に迷惑をかけちゃいけない」の呪縛から逃れて、上手に他人に頼る人が実は自立した人でもあると説きました。原作を書いた「こんな夜更けにバナナかよ」の映画に主演した大泉洋さんの言葉を引用。「自分にできないことは人にどんどん頼りなさい。自分が人から助けを求められたら、それに応えられる人になろう」と娘に教えていると紹介しました。